SUS304は、優れた耐食性と加工性を持つステンレス鋼で、家庭や産業の幅広い分野で活躍しています。本記事では、SUS304の特徴を詳しく紹介し、より高い耐食性を持つSUS316や、コストパフォーマンスに優れたSUS430との違いを比較します。用途に合ったステンレス鋼の選び方を知りたい方におすすめです。
SUS304とは何か?その基本的な特性は?
まずSUS304の成分を解説
SUS304は、ステンレス鋼の一種で、最も広く使われているオーステナイト系ステンレス鋼です。鉄(Fe)を主成分とし、クロム(約18%)とニッケル(約8%)を含みます。
SUS304の特徴は?
- 優れた耐食性: クロムとニッケルの含有により、酸や塩水などの腐食環境でも優れた耐久性を持っています。
- 高い成形性と加工性: SUS304は冷間加工が容易であり、曲げ、溶接、切断といった加工がしやすいです。これにより、複雑な形状の部品や構造物の製造に適しています。
- 非磁性: SUS304はオーステナイト系ステンレス鋼であり、磁性を帯びません。そのため、磁場に影響を受けやすい環境での使用に適しています。
- 耐熱性: 高温環境でも安定した性能を発揮し、約800℃までの耐熱性があります。
SUS304の主な用途を解説!
ステンレス304は、食品関連製品、医療機器、建築資材、自動車部品など、幅広い分野で使用されています。耐食性、耐熱性、加工性に優れているため、様々な用途に適しています。以下のように詳しく説明します。
キッチン用具・家庭用品
シンク・調理器具: ステンレス304は食品の安全性を保ちつつ、腐食や錆に強いため、シンク、鍋、フライパン、カトラリーなどの調理器具に広く使用されています。
家庭電化製品: 冷蔵庫や食器洗い機の内部部品としても用いられています。
建築材料
内装・外装材: 耐久性と美観を兼ね備えたステンレスとして、ビルの外壁、手すり、エレベータードア、装飾用パネルに使用されます。
配管材: 腐食しにくく、清潔を保ちやすいため、水道管や排水管としても利用されています。
食品・飲料産業
タンク・容器: ステンレス304は腐食に強く、食品や飲料が化学反応を起こさないため、製造工場のタンクや容器、パイプラインなどに使用されています。
調理機器: 食品加工機械や製造ラインにも多く使用されています。
化学工業
薬品容器・配管: 化学薬品に対しても優れた耐食性を持つため、化学薬品を扱う配管や容器、反応槽などに使用されています。
医療機器
手術用器具・医療用トレイ: ステンレス304は清潔性を維持しやすく、滅菌処理が可能なため、手術用器具や医療用トレイ、病院の設備に広く使われています。
自動車部品
排気系パーツ: 耐熱性と耐腐食性を備えているため、排気システムの部品としても使用されます。
SUS316とSUS430との違いは何か?
SUS316とSUS304の違いについて
ステンレス304とステンレス316は似た特性を持ちながらも、モリブデンの添加による耐食性の向上や高温での性能の違いにより、用途が異なります。
化学成分の違い
- ステンレス304:
主成分はクロム(Cr)約18%、ニッケル(Ni)約8%。
他に少量の炭素(C)やマンガン(Mn)が含まれています。 - ステンレス316:
主成分はクロム(Cr)約16%、ニッケル(Ni)約10%。
さらに、約2-3%のモリブデン(Mo)が含まれており、これがSUS316の特性を大きく左右しています。
耐食性
- ステンレス304:
一般的な耐食性を持ち、腐食しやすい環境においても広く使用されています。 - ステンレス316:
モリブデンの添加により、特に塩分や塩化物環境での耐食性がSUS304よりも優れています。そのため、海洋環境や化学プラントなど、腐食のリスクが高い環境で多く使用されます。
耐熱性
- ステンレス304:
高温環境でも比較的優れた耐熱性を持っていますが、極端な高温では酸化しやすくなります。 - ステンレス316:
SUS304よりも高い耐熱性を持ち、高温環境での使用においても、より安定した性能を発揮します。
機械的特性
- ステンレス304:
強度、延性ともに優れ、さまざまな加工に適しています。一般的な機械的特性を持ち、さまざまな用途で使用されています。 - ステンレス316:
SUS304と同様に優れた機械的特性を持ちますが、特に高温下での強度が高いため、より過酷な環境で使用されることが多いです。
コスト
- ステンレス304:
一般的にSUS316よりも安価です。コストパフォーマンスが良いため、広く利用されています。 - ステンレス316:
モリブデンが含まれているため、SUS304よりも高価です。しかし、耐食性や耐熱性が求められる特定の用途では、この追加コストが正当化されます。
用途の違い
- ステンレス304:
キッチン用具、家庭用品、建築材料、一般的な配管材、食品産業のタンク・容器など、広範な用途で使用されます。 - ステンレス316:
海洋機器、化学工業、医療機器、船舶の装備、海水淡水化装置など、特に高い耐食性や耐熱性が要求される環境で使用されます。
磁性の違い
- ステンレス304:
非磁性であり、磁石に引き寄せられることはありません。 - ステンレス316:
SUS304と同様に非磁性ですが、冷間加工によって微量の磁性を帯びることがあります。
SUS430とSUS304の違いについて
ステンレス430とステンレス304は、化学成分、耐食性、機械的特性、磁性などにおいて明確な違いがあります。ステンレス430はコストが低く、磁性を持つことから、特定の用途に適していますが、耐食性や加工性においてはステンレス304が優れています。
化学成分の違い
- ステンレス304:
オーステナイト系ステンレス鋼で、主成分はクロム(Cr)約18%、ニッケル(Ni)約8%。
また、少量の炭素(C)やマンガン(Mn)が含まれています。 - ステンレス430:
フェライト系ステンレス鋼で、主成分はクロム(Cr)約16-18%であり、ニッケル(Ni)はほとんど含まれていません。
この合金は炭素(C)含有量が低く、マンガン(Mn)やシリコン(Si)が微量含まれています。
耐食性
- ステンレス304:
ニッケルを含んでいるため、ステンレス430よりも高い耐食性を持っています。塩分環境や酸性条件でも腐食に対して優れた耐性を発揮します。 - ステンレス430:
クロム含有量が高いため一定の耐食性はありますが、ニッケルを含まないため、耐食性はSUS304に比べて低いです。特に湿潤環境や塩分の多い環境では、腐食のリスクが高くなります。
耐熱性
- ステンレス304:
高温環境でも優れた耐熱性を持ち、酸化に対しても比較的耐性があります。高温下でも機械的強度を維持するため、広範な温度範囲で使用可能です。 - ステンレス430:
高温環境での耐熱性はそこまで高くありませんが、特定の温度範囲(約400°C~800°C)では安定した性能を持っています。ただし、酸化やスケール形成には注意が必要です。
機械的特性
- ステンレス304:
延性に優れ、成形や加工がしやすいです。深絞りや曲げ加工にも適しており、多様な形状に加工可能です。 - ステンレス430:
強度と硬度があり、延性が低いため、曲げ加工や深絞り加工においては割れやすくなります。比較的硬く、加工性においてはSUS304に劣る部分があります。
磁性の違い
- ステンレス304:
オーステナイト系ステンレス鋼であり、通常は非磁性です。ただし、冷間加工により若干の磁性を帯びることがあります。 - ステンレス430:
フェライト系ステンレス鋼であるため、磁性を持ちます。磁石に引き寄せられる性質があるため、磁性が必要な用途で使用されることが多いです。
コスト
- ステンレス304:
ニッケルを含んでいるため、ステンレス430よりも高価です。しかし、その高い耐食性や加工性から多くの用途で採用されています。 - ステンレス430:
ニッケルを含まないため、コストが低く、比較的安価です。そのため、コスト重視の用途で広く使用されています。
用途の違い
- ステンレス304:
キッチン用具、建築材料、配管、食品産業、医療機器、化学装置など、耐食性と加工性が重要な用途で広く使用されます。 - ステンレス430:
家電部品、厨房機器、装飾品、内装材、車のマフラー、食器など、耐食性がそれほど厳しく要求されない用途で使用されます。また、磁性を必要とする部品にも使われます。
SUS304、SUS316、SUS430の比較表
特性 | SUS304 | SUS316 | SUS430 |
分類 | オーステナイト系ステンレス鋼 | オーステナイト系ステンレス鋼 | フェライト系ステンレス鋼 |
耐食性 | 高い | 非常に高い(特に塩分環境で優れる) | 中程度(SUS304より劣る) |
耐熱性 | 優れている | 非常に優れている | 高い |
磁性 | なし | なし | あり |
機械的強度 | 高い | 高い | 中程度 |
加工性 | 非常に良い | 良い | 良い |
主な用途 | キッチン用具、化学機器、配管など | 海洋環境機器、化学プラント、医療機器 | 家電部品、内装、装飾用 |
価格 | 中程度 | 高価 | 低価格 |
まとめ:SUS304の特徴、他のステンレス鋼との違いを把握しましょう!
SUS304は、優れた耐食性と加工性を持つオーステナイト系ステンレス鋼で、キッチン用具、建築材料、医療機器など多岐にわたる用途で使用されています。SUS316はSUS304よりも耐食性が高く、海洋環境に適している一方、SUS430は磁性を持ち、コストが低いですが、耐食性は劣ります。
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